Paul Petzoldt part 1.
WEAの創始者Paul Petzoldtについては、やはり取り上げたいと思います。私は、非常にラッキーなことに、ポールと共にWEA発展に貢献された方々から、ポール直伝の指導について学び、インストラクターとして育てていただきました。また、アメリカのWEAナショナルオフィス勤務時代に携わった多くの方々からもポールに関する面白いエピソードを多く教えてもらいました。伝え聞いている内容が必ずしも正確な情報ではない可能性は大いにありますが、そこも含めてレジェンドだと思いますので、そのままみなさんと共有したいと思います。
まずはみなさんご存じでしょうが、略歴から。
Paul Petzoldt
1908年アメリカアイオワ州生まれ、アイダホ州育ち。ワイオミング州のGrand Tetonへ16歳の時最年少登頂記録を樹立。ジーンズにカウボーイブーツでの登山による苦戦経験から、登山装備と技術の重要性を学び、その後時々ガイドとして働く。登山家として1938年のアメリカK2アタック隊に参加、登頂はならなかったが、隊長と共に当時の北アメリカ人としての無酸素最高地点到達者となる。K2失敗の原因を天候やスキル、運などではなくExpedition Behaviorであると後に説いた。登山家として様々な登山テクニック(rhythmic breathing, sliding middleman, energy consumption techniqueなど)を開発、アメリカ陸軍サバイバルインストラクターの役割も果たす。農業や車のセールスマンを行うもうまくいかず、1962年にコロラドに開設されたOutward Bound USAにて初代チーフインストラクターとして野外教育指導を始める。指導者の質の向上のため、1965年にワイオミング州にNational Outdoor Leadership School(NOLS)を設立。個人事業(ギアショップ)の経営と非営利団体NOLSの経営を混同させたことからの経営トラブル、さらに妻との問題から、NOLSを去る。その後未来のアメリカのWildernessのための教育の重要性を痛感し、全米各地から大学教員を呼び出し、5週間のwilderness educationを開始、大学カリキュラムとして確立し、WEA設立へとつながった。イギリスより導入されたOutward Boundによる冒険教育をWilderness環境にて展開するWilderness Educationを確立した。National Standard Programや野外救急法といったCertificationを重視する時代の流れとともにフィールドから離れがちになったが晩年まで勢力的に教育・登山活動を続け、80代後半になってやはり原点は子どもの教育であるとし、Paul Petzoldt Leadership Schoolを設立、1999年没。
こちら、2016年のWEAJカンファレンスにて実施したPPについてのワークショップにて、参加者のみなさんと一緒に作成した年表です。冒険教育者としての偉業と共に、私生活についてもなかなか波乱万丈だったようですね。若いころ、イケメンだったようです!
メディアや冒険教育関連文献に紹介された彼の肩書の数々には以下の記述があります。
“浮浪者時々山岳ガイド”、 “歴史的ワル”、(Adventure Journal, 2016)
US陸軍避難テクニックインストラクター世界的登山家 「最年少Grand Teton登頂」「K2登山、無酸素での最高地点到達記録」
“男の中の男!”(Casper Journal, 1995)
登山用品店経営者、OBインストラクター、NOLS、WEA、Paul Petzoldt’s Leadership Schoolの創設者
ポケットナイフで牛やヤギを殺して食べ、赤ふんどしで山頂に座っている指導者?
何ともハチャメチャな、魅力いっぱいな人間性が浮かんできますね。人脈もなかなか豊富だったようで、本当かどうか疑わしいエピソードも多いですが、歴史的に有名な人とのつながりも多いようです。私の出会ったポールを直接知る人々はみんな、ポールについて語るのが誇らしくて、楽しくて仕方ない様子でした。そこからも彼の偉大さや、カリスマ性、人柄が伝わってきます。アイダホ州のDriggsという町に彼の蔵書が保管された図書室のような部屋があったそうですが、彼は大学には行っていませんが、”self-learner scholar” という言われ方もされており、相当の読書家・勉強家で自分の哲学を築き上げていったようです。それらの知識、幅広い経験、また物事を見る鋭い目を総合し、彼なりなwilderness educationを作り上げたようです。私は彼の言葉が非常に力があり、深く、魅力的に感じます。以下どのくらい知っていますか?説明できますか?エピソードと合わせてフィールドで使いこなせると、効果的ですよ!答えや、彼の理念など次回以降また詳しくお話します。乞うご期待!
- Expedition Behavior
- Grasshopper Methods
- Cigarette theory
- Rules are for fools.
- Word means nothing.
- Eat like Indians
- White man fire
- If they say they’ve climbed the Matterhorn, take an extra rope.
- No matter how blue the sky, don’t ask why, put up your fly!
- Educate, don’t legislate!
- Shakedown.
- Energy conservation techniques.
- Don’t give me college answer, tell me why.
- Rhythmic breathing
- Sliding-middle-man
- Know what you know and know what you don’t know.
- If you are not comfortable, you are not doing right.
- Let’s see real people.
- Selflessness
- Now a promise made is a debt unpaid.
- That’s once.
以下、私の最も好きな彼の言葉です。
All my life, people have asked the question directly or indirectly, “why the hell do you climb mountains?” I can’t explain this to other people. I love physical exertion. I love the wind. I love the storm. I love the fresh air. I love the companionship in the outdoors. I love the reality. I love the change. I love the oneness with nature. I am hungry. I enjoy clean water. I enjoy being warm at night when its cold outside. All those simple things are extremely enjoyable because gosh, you’re feeling them. You’re living them. You’re senses are really feeling. I can’t explain it.
WEAJ理事 林 綾子(びわこ成蹊スポーツ大学)