この度はWEAJメンバーサーベイへのご協力ありがとうございました。以下結果と考察を報告いたします。これらの結果は、理事会で共有し、長期的なビジョンのもと、第7期としてやるべきことを、次回総会にてお届けいたします。
調査概要
期間:2026年2月1日-2月11日
方法:オンライン回答
対象:OLTC、COL、COE、CE
分析:「とてもそう思う」3点、「そう思う」2点、「ややそう思う」1点、「そう思わない」-1点の4段階評価。「わからない」を分析から除外。
回答率:34.7%(COE以上42.1%/COL37.0%/OLTC26.9%)
デモグラフィックデータ
回答者の属性を以下の示しました。
入会年度について、近年の入会者の回答率が高い結果となりました。この結果から、資格取得後年数の経っている会員への継続的な支援の継続が必要であると考えられます。
会員種別については、比較的均等に分散しました。
職業種別について、個人事業者が最も多く、ついで、非営利、営利の団体職員でした。一方で、大学教員の回答数が少なく、アメリカのWEAの構成とは大きく異なる結果となりました。日本とアメリカの大学教育における野外指導者養成を一概に比較はできませんが、WEAの設立時の最も重要なターゲットであった大学教育における支援は今後大きな課題と言えます。
会員の活動形態としては、無雪期ハイキングが最も多く、ついでカヌー、沢歩きでした。一方で、エクスペディションの移動手段として海外でポピュラーなラフティング、サイクリングは少数にとどまりました。いずれもギアの課題はあるものの、実践メンバーの協力を得、遠征手段としての可能性を検証できればと思います。
カンファレンスについて、参加実績、発表実績も0回が最も多く、会員のネットワーキング及び知識、スキルのアップデートのコア機能として、大きな問題があることがわかりました。改めてポートフォリオとの連動も含め、カンファレンスの参加率、発表率の向上に努めてたいと思います。






WEAの価値
「WEAにどのような価値を感じていますか?」の質問に対し、「とてもそう思う」、「そう思う」、「ややそう思う」、「そう思わない」の4段階で評価を行いました。赤線は7項目の平均点を示しています。

国際性及びカリキュラム、資格体系について、平均以上の評価を得ました。カリキュラム、資格体系については、すべてのメンバーがコースで実際に体験し、COEは指導に活用するなど、よく理解していることが影響していると考えられます。
一方、平均以下の評価について、ポートフォリオは、WEA指導者の資格更新の根幹となるシステムですが、本格運用が、2025年2月からになったことが原因と考えられます。
また、資格と公認制度の一元化については、現在COEの中でも、COLコースを5年間開催するというCEへのアプライの要件を満たすものがおらず、CEが必要となる公認プログラムのメリットを活用できていないことが原因でしょう。WEAは個人の資格体系と、その個人を育成するための組織の公認基準が一元化している数少ないシステムを持っていますので、今後COEへのコース開催支援も含めて注力が必要となります。
最後に、指導者の確かな能力ですが、現在日本全国に指導者が分散し、なかなか日常業務で協働する機会を提供できていないのが現実です。今後、企業野外研修、インターナショナルスクール等で一定数のWEAJメンバーが協働できるクライエントへの営業も強化できればと思います。
以下自由記述による回答です。
【ビジネス/汎用性】
・ビジネスに汎用できる。(COE)
・野外教育だけでなく、チームや組織で目的を達成するための知識とスキルの汎用性。(COE)
・どこでも,何にでも落とし込んで考えることができる。(COE)
・国内野外指導団体との相乗的・波及的効果。(COE)
・企業研修、ガイド養成等に活かせる知識、スキル。(COL)
【国際性】
・世界との共通性(COE)
【メンバー】
・メンバーの人間性の高さ(COL)
【カリキュラム】
・学術性(COE)
・資格取得や維持のハードルが他の野外指導関連資格や教育体系よりも相対的に高い。(COL)
・指導者として求める内容が明確かつ科学的。(COL)
・高度に体系化されたや野外教育。(COL)
・COL取得時の経験学習法が有意義。(COL)
・日本の野外指導者育成の指標。
・必要性の説明が言語化されている。(COL)
・理論と実践のバランス。現場で起こる事象について、全て根拠を示して参加者の成長につながる教材にすることができる。理論だけでなく、実践が伴い、現場でのパフォーマンスを示す指導者がいる。そのコミュニティーがある。(COL)
・公立の施設で野外活動を指導する者として、ワンランク上のスキルのイメージがあり、ロジカルな内容になっているのはブレがなく分かりやすい。(OLTC)
サービスの満足度
「WEAJのサービスについてどの程度満足していますか?」の質問に対し、「とても満足している」、「満足している」、「やや満足している」、「満足していない」の4段階で評価を行いました。

全体として、平均点が1.19と、「やや満足」にとどまったことは、選出した項目にもよりますが、全体として更なる取り組みが必要と言えるでしょう。
平均以上の満足では、「カンファレンス」が最も高く、現在運用されている「ウェブ」、「ブログ」、「メルマガ」などのメディア、「会員管理」と「CCG審査」の管理業務でした。いずれもレギュラーに運用されているサービスであり、一定の評価は得られたと考えられます。
一方で特に満足が低かったものとして、「国内における広報営業」について、WEAは指導者養成を使命とする団体ですが、まずは企業、学校などのエンドユーザーにWEA指導者に価値を感じてもらわないと、なかなかプロバイダーの資格取得動機には繋がらないでしょう。
「研究活動、学術」については、アメリカのWEAによるジャーナル発行などと比較すると日本の大きな課題です。デモグラフィックデータで示した通り、大学所属の会員が少ないことも要因の一つですが、野外指導者が高度職業人である以上、アカデミズムも実践スキルの必須要素です。今後、カンファレンスでの情報発信や再教育などを検討していきます。
最後に、「学生の野外研修支援」が最も低かったことは、WEAの使命としては最も大きな問題でしょう。創設者であるポールは、健全な野外業界を作るためには、大学教育に野外指導者カリキュラムを導入し、新たな人材が流入することが必須と考えました。大学外部の会員が学内のカリキュラムに介入したり、学生を指導することは非常に難しいことですので、現行の大学所属会員のアクションに大いに期待します。
以下自由記述による回答です。
【満足していない】
・国内での認知度の低さ(COE)
・WEAJの認知度は国内ではまだ低いという印象。(COE)
・指導者の資格別のフォローアップ、アップデートの場を定期的に開催してほしい。(COE)
・会員特典があまりないので、WEAJグッズなどの特典などほしい。(COE)
・コースを開催するために他のコースや指導内容を「見習い(アプレンティス、インターン)」として参加できる機会が必要。コースの開催情報に「こういう人物(資格内容や条件)であれば、見習いも可」などの情報が必要。例えばウォーターアクティビティの経験が少ないメンバーが、ウォーターアクティビティの経験豊富なメンバーが開催や指導しているコースに参加できれば、その人の経験が増え、コースバリエーションも増えていくなど、組織全体としてもメリットはある。(COL)
・COLからCOEへステップアップするために必要な知識、スキルが、もう少し具体的になると、学習計画が立てやすい。(COL)
・指導者向けの講習が開かれているのか不明。WEAJとして価値を高める広報や営業を見たことがない。(COL)
・OLE開催申請の簡素化(フォーム申請等)、OLE修了証や資料(評価表やカリキュラム詳細等)の共有。(COL)
・資格取得後のブラッシュアップする機会が、限定的。カンファレンスのワークショップや企業研修などに手を挙げて参加することもできるが、やや受け身になっている層をアクティブにすることを考えると、OLTCブラッシュアップコースなどを定期的に開催する。(COL)
・SNSやホームページなどへの訴求力はほぼ無い。LNTきっかけで野外教育を知る人も今後増えてくるので、OLTCの開催が少ないという状況は勿体無い。(COL)
・コースの機会を増やし、告知を早めに。(OLTC)
・COLを受講したいと考えているが、機会も限られており、スケジュールを合わせるのが難しい。(OLTC)
【満足している】
・コースや資格の質の高さ。(COE)
・カンファレンスは一度参加のみだが分野も多岐にわかれ、とても学ぶことが多かった。様々な人と出会えるのも魅力的。(COE)
・組織の規模を考慮すると、かなり高いレベルで組織運営がされている。具体的には、「会員管理」、「インターネットを使った諸連絡や広報」、「カンファレンスの開催(内容、規模含め)」、「コースの開催」。(COL)
・ソーシャルメディアによる定期的な発信。(COL)
・年1回のカンファレンスは貴重な学びの機会。国内外の指導者と出会い、再会できる場は素晴らしい。(COL)
・ブログやメルマガは情報のアップデートに有益。(COL)
コース開催の阻害要因
「WEAコースを開催するために阻害要因となっていることはありますか?」の質問に対し、「とてもそう思う」、「そう思う」、「ややそう思う」、「そう思わない」の4段階で評価を行いました。

まず、阻害要因として感じられていないものは、「CCGによる審査」、「カリキュラムの複雑さ」、「登録料の高さ」、「遠征の長さ」でした。
一方で、高い阻害要因と感じらているものが、「WEA」という組織と、「WEA資格」に対する「認知不足」でした。また、その結果として「集客力」の低さが挙げられます。WEAJからスピンアウトしたLNTの認知の拡大は目覚ましいものがあります。「環境指向」、「資格のアクセスのしやすさ」、「7原則の簡便性と普遍性」、「ATなどの政策」など、LNT発展の要因を精査し、WEAの認知拡大につなげたいと思います。
「野外指導における資格の軽視」に関し、日本の野外資格のほとんどが、テクニカルスキルに傾倒し、市場もテクニカルスキル=良い指導者を求め、メタスキルに関する軽視し、認識の低さがいまだに根深く残っています。サイモンはこれを野外業界の「誕生期」と位置付けましたが、日本の野外が「成長期」、「成熟期」に向かうためには、まずメタスキルの理論と技術を持った指導を求める市場、例えば企業研修や、これまでとは一線を画す学校プログラムなどを育てていく必要があるのかもしれません。
以下自由記述による回答です。
【認知/市場】
・集客力(COE)
・活動エリアにおいては、コースに関心を持つ対象(指導者、事業者、ユーザー)がいない。その認知と有用性を高める活動(マーケティング)が必要。(COL)
・野外・アウトドア資格として、WEAJの認知度が低い。(COL)
・WEAのコースを開催するメリットが現時点でわからない。(COL)
・カリキュラム内容が一般的な野外指導者に適さないと誤解される。(COL)
・野外活動指導者の「指導」に対する考え方が基本的に浅く、それぞれの組織独自の考え方と指導法、スタッフのOJTで成り立っている現状がある。他の組織に学びに行くスタイルが広がっていない。(OLTC)
【コースデザイン】
・山以外のコース事例がない。(COE)
・コースの長さ。様々な研修に参加したことある人にとって参加料金は高くはないが、学生には少し高い。それだけの価値があることを認知してもらうための、参加者の感想やその後の活動などの紹介があってもよい。(COE)
・サイクリングを主としたOLEの開催を目指している。カリキュラム、プログラムづくりに苦戦。(COL)
・宿泊可能なフィールドの確保。野営地がグレーな中で、お金をとってコースを開催すること。キャンプ地ではなく、よりリアルな環境でと考えても、なかなかフィールドがない。(COL)
・日数的には必要だが、仕事をしていると参加しにくい。(OLTC)
WEAJへの期待
「WEAJにどのようなことを期待しますか?」の質問に対し、「とても期待する」、「期待する」、「やや期待する」、「期待しない」の4段階で評価を行いました。

「ポートフォリオ支援」、「コース申請」などの実務を除き、全体の平均点が2.03と「期待している」と評価され、執行部としても身が引き締まる思いです。
中でも高い期待は、「有資格者のネットワーキングの活性」でした。もちろんカンファレンスはその最大の場でもあるので、より参加しやすいカンファレンスを目指すことはもちろんですが、遠方の会員のためにも、現在運用しているオンラインサロンのあり方もブラッシュアップする必要があるかもしれません。また、協働する現場を作るというのも個々の会員に委ねるのではなく、WEAJとしてのアクションも考えなければならないのかもしれません。
「大学」、「民間」における「コースの開催支援」について、現行のカリキュラムをWEAに合わせるという方向性だけではなく、現在双方で行われているトレーニングカリキュラムに、WEAをブレイクダウンするという柔軟性を具体化する必要があるかもしれません。現在OLTCからCOLには有効な接続ができましたがOLEから上位資格への接続が途切れている状態です。せっかく多くの会員がOLEを導入してくれているので、国際基準の上をいく、ジャパンのローカルルールで、再設計が必要かもしれません。
最後は、やはり「SNS」をはじめとする各種メディア等を通じた「WEAの認知の拡大」に尽きるのではないでしょうか?いかに認知を拡大しても、市場が求めていなければ「集客」にはつながりません。これには、プロバイダーだけでなく、その先にエンドユーザーも含めた市場を「育てる」といったチャレンジが伴います。もちろんWEAJメンバーは皆それを目指していると思いますので、WEAJとして「いつか」ではなく、具体的なKPIを次回総会までに示せればと思います。
以下自由記述による回答です。
・組織の継続のための理事育成。(COE)
・グローバルライセンスの国内優位性の確立(COE)
・助成金(COE)
・有資格者としてコースを開催するためのコースの組み立て方や設定の方法の支援。(COE)
・一般化することによる質の低下の阻止と、質の高いカリキュラムの維持。(COL)
・WEA有資格者が関わっているプログラムと、関わっていないプログラムの比較。(COL)
・ 海外のWEA団体の活動事例情報の共有。(COL)
・有資格者の横のつながりの強化。(COL)
・アウトドア事業者の共通認識になること。行政とのコネクション。(COL)
WEAJがよりよくなるために
最後に自由記述をまとめました。はげましのお言葉もありありがとうございました。全てに応えられるわけではありませんが、各カテゴリーごとの所管をまとめました。
組織に関してはまさにその通りです。LNTJでは、野外指導者ではない2名の常任理事の尽力で、野外指導者だけではなし得なかった業界にLNTが浸透しています。また、設立時の理事組織も、全アウトドアガイド業界、横断的な関連学問の大学関係、アウトドアメーカーなど、国内の野外関連組織の中でも屈指の多様性を実現したおかげで、幅広くLNTが浸透しています。CCGは外部有識者の枠もありますんので、今後それらの有効活用も検討しいきたいです。
認知に関しては、冊子はすでにあるのですが、カンファレンスのみの使用で、皆さんの手に届いていなかったことに反省です。また現在プロモーション動画も作成中ですので6月総会のお披露目をご期待ください。それ以外にも、すべての団体メンバーにバナーの無料配布や、すべてのコース参加者にステッカーの無料配布も決定しています。会員の皆様にはこれらのプロモーションツールをぜひご活用いただきたいです。
コースに関しまして、主にOLTCの準会員の皆様から貴重な意見をいただきました。それぞれの国にはその国ごとの社会システム、教育システムがあり、求められる指導者のレベル、資質もそれに合わせるべきです。一方で、野外指導者にも世界普遍の共通言語があると信じて、WEAJは設立し、これまでやってきました。現在、WEAは、日本から中国、香港、台湾、マレーシアなどに広がっています。彼らも全く同じコースを体験し、同じ共通言語を用いています。日本でWEAのトレーニングを受けた若者たちが世界のどこに行っても同じ言葉と価値観で指導ができる、そんな業界に若者たちは夢を抱くのではないでしょうか。現在の国内で活動するより多くの野外指導者に国際基準の価値を理解していただくために、しっかり入り口を工夫していこうと思います。
【組織】
・事務局の業務の軽減。(COL)
・理事会に組織運営に長けた人材を加える。(COL)
【認知】
・ウィルダネスの意義の認知拡大への期待。(COL)
・WEAJがどんな団体で何を学べるのかがわかるようなプロモーションの動画や冊子。(COL)
・WEAの国内普及に尽力していきます。(COL)
【コース】
・講習内容や評価基準をある程度統一する。(COL)
・WEAJが進めている考え方と、今の日本の野外教育指導者の求めるものの乖離がある。(OLTC)
・素晴らしいカリキュラムと内容を知るための入り口となるOLTCでさえ、かなりハードルが高い。集客、認知拡大を考えたら、入口の工夫が必要。(OLTC)
・資格更新のための講習会。(OLTC)
