Symposium

日本における野外救急法の現状と課題

10:30-12:00@東京国際交流館4F会議室1

「ウィルダネス・ファーストエイド」が初めて日本にやってきて以来、ここ10数年野外救急法の講習も増えてきました。文字通り、野外で行なう救急法のことであり、野外とは救急車がすぐに到着できない場所、状況を指します。それは登山やカヤックなどアウトドアアクティビティが行われるフィールドであり、「街」が震災により医療が行き届かなくなり「野外状況」になるケースもあります。このようなときに、ファーストレスポンダーとなるのは、医療従事者でないことが多くなります。一般の者が傷病者をいかに観察し対処し、なるべく状況を悪化させずに医療機関へと引き継いでいくか、その知識とすべを学ぶのが野外救急法の講習です。アウトドアで仕事をする者、活動する者にとって、必要不可欠と考えますが、野外救急法が医師法などに抵触するのではないか、医学的見地からして内容は信頼できるのかなどの疑問が投げかけられてきました。今回のシンポジウムでは、それらの疑問について、法律家、医師、野外教育者がそれぞれの立場から見解を示します。医師法に抵触しないと考えられる理由はどこにあるのか。救急法を施したことによって万が一状況が暗転した場合、ファーストレスポンダーの立場はどうなるのか。ウィルダネス・ファーストエイドの発祥の地であるアメリカでは、野外医療の医学会が、講習の内容を保証し、また医学会からアップデートされた最新内容を講習しているが、日本の医学会から見ると、どうなのか。はたして医学的信頼性をおけるのか。野外救急法を、今後日本で普及させていくための課題は何か。多角的に議論を進めたいと思います。(コーディネーター柏澄子)

パネラー 発表主旨
  法律家
溝手康史
国立登山研修所専門調査委員
日本山岳サーチアンドレスキュー研究機構理事
20代の頃から日本内外で登山をし、ヒマラヤのアクタシ(7016m)、天山山脈のポベーダ(7439m)、北極圏・バフィン島のフリーガⅡ峰などの登山・クライミングや、ブータンやニュージーランドなどでのトレッキングの経験がある。最近は、山岳事故の責任問題、アウトドア活動のリスクマネジメント・法的課題などについて、研究・発言している。アウトドア活動を行ううえでの日本の法制度の不備を感じることが多い。現在、国立登山研修所専門調査委員、日本山岳サーチ・アンド・レスキュー研究機構、日本山岳文化学会、日本ヒマラヤ協会などに所属。著書に、「登山の法律学」(東京新聞出版局)、「山岳事故の法的責任」(ブイツーソリューション)などがある。
医療従事者
稲垣泰斗
北里大学病院 救命救急・災害医療センター 医師
北里大学医学部救命救急医学助教。北里大学病院の救命救急・災害医療センター勤務。日本救急医学会専門医、日本集中治療医学会専門医。トレイルランニングなどアウトドアアクティビティを愛好する。ウィルダネス メディカル アソシエーツ ジャパンのWLAS(医療従事者対象)とWAFA(アドバンスレベル)を受講した経験などに基づき、「メディカルランナー」の制度・チームを作り、トレイルランニングのレースでファーストエイドのできるドクターランナーとして出走。また医療アドバイザーとして救護体制全般に関わるトレイルランニングレースも複数。2016年秋には、野外救急医療の先駆者であるディビット・ジョンソン医師を囲む「野外医療」「野外救急」の勉強会を主宰し、医療従事者、救助隊、アウトドアガイドなど多分野の参加者を集めた。
野外教育プロバイダー
佐藤初雄
NPO法人自然体験活動推進協議会代表理事
民間野外教育事業者。大学卒業後、コロラドに渡りOBSで冒険教育インストラクターを経験。帰国後1983年に、国際自然大学校を設立し、現在は理事長。日本で自然体験活動を実践してきたパイオニア。現在は、「自然体験推進法」をおこす活動も行っており、自然体験がより社会に広まり根付いていくよう挺身。おもな役職は(特)自然体験活動推進協議会代表理事、(社)日本キャンプ協会監事、日本野外教育学会理事、(一社)日本アウトドアネットワーク理事、(特)千葉自然学校副理事長、(特)さんさんくらぶ理事、(特)白川郷自然共生フォーラム理事、(特)浅間山麓国際自然学校理事、(特)日本エコツーリズムセンター評議員。おもな著書は『社会問題を解決する~自然学校の使命〜』(みくに出版)、『自然学校運営マニュアル』(山と渓谷社)